旧遷喬小学校

 旧遷喬(せんきょう)尋常小学校は、懐かしい小学校時代を思い出させてくれる素敵な空間でした。

旧遷喬尋常小学校

旧遷喬尋常小学校

 旧遷喬尋常小学校校舎(国指定重要文化財)は、現在の岡山県真庭市にあり、当時の町予算の3倍近くもの費用と2年の工事期間をかけて明治40年(1907)に完成した擬洋風木造建築で、平成2年夏に小学校としての役目を終えて現在は一般に開放しているそうです。

旧遷喬尋常小学校

 校舎は左右対称のデザインで、玄関のある中央部は、左右に広がる教室のある部分の2倍の厚みがあるそうです。玄関左右を少し張り出して破風で飾り、屋根の正面には校章(帆を張った高瀬舟をデザインしたもの)の入ったドーマー窓があり、正面左右の壁にはベネチア窓である飾り窓があり、軒下の壁には筋交いを組んで化粧しているのだとか。

玄関前

玄関前

 写真左下を見ると、御影石を並べた上に赤煉瓦を7段積んだという建物の基礎の部分を確認することができます。
玄関を入ったところ

玄関を入ったところ

 玄関を入ると、なぜか懐かしい場所に帰ったような気がしました。幸せだった幼少期への郷愁が心の隅にあるからでしょうか。
制服

制服

 旧遷喬小学校の制服を無料で貸し出しているようでした。制服を着れば気分だけでも小学校時代に戻れるかも・・。
校舎の模型

校舎の模型

 この模型では、屋根上の校章が一番上の写真のもの(帆を張った高瀬舟をデザインした校章)と異なっていますが、この校章を使っていた時期もあったようです。
給食の食器類

給食の食器類

 あのポットのようなのには脱脂粉乳が入っていて、アルマイトの食器に注がれたのを飲んでいたのでしょうね・・・きっと。
映画のロケに使われました

映画のロケに使われました

 旧遷喬尋常小学校は、「火垂るの墓」や「ALWAYS 三丁目の夕日」などの映画やNHKの朝ドラなどのロケ地としても度々使われています。
まわり階段

まわり階段

 校舎端のまわり階段は幅広くゆったりとしていて、相当な年月を経ているとは思えないほどしっかりとしていました。
2階廊下

2階廊下

 教室棟(校舎の両袖の部分)の廊下は幅広く分厚い松材を使用しているそうです。これだと小学生が少々走ってもあまり響かないのかも。
映画撮影教室の表示

映画撮影教室の表示

 順路に従って2階廊下を進むと、映画の撮影に使われた教室を示す表示がありました。
映画撮影教室

映画撮影教室

 この教室(中嶋学級)で「ALWAYS 三丁目の夕日」と「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の撮影が行われたようです。
教室の前側

教室の前側

 中嶋学級の前の黒板には、「今日の献立」とか書いてありました。ときどき開催される「なつかしの学校給食」というイベント(予約制)のもののようです。
机と椅子

机と椅子

 2人用の生徒(児童)机は、天板を上に開くタイプのものもあったような・・・手前の机は自分の領域を確保するために線を彫り込んだのでしょうか・・・。
教室の後側

教室の後側

 教室(中嶋学級)の前後には、学校行事予定表・学校新聞・習字・みんなの目標・・など色々な掲示物が撮影に使われた当時のままに残されていました。
みんなの目標

みんなの目標

 みんなの目標には、「小説を完成させることです。古行淳之介」「模型作りをじょうたつさせて皆をびっくりさせる! 鈴木一平」など色々書かれていました。
こんな感じです

こんな感じです

 映画で、みんなの目標をアップで写すシーンがあったのかどうか・・。(北島三郎は、一平の友人みたいです)
講堂

講堂

 2階中央にある講堂は、終戦60年スペシャルドラマ「火垂るの墓」で御影国民小学校(病院の設定)のシーンで撮影に使用されたそうです。・・天井が必見です。
二重折り上げの洋風格天井

二重折り上げの洋風格天井

 講堂の天井は、二重折り上げの洋風格(ごう)天井という豪奢な造りの天井で、鏡板はすべてヒノキの柾目板だそうです。もう、圧倒的な風格です。
二重折り上げの洋風格天井

二重折り上げの洋風格天井

 とにかく、手の込んだ造作が見事だし、保存状態も素晴らしくて感激しました。
・・旧遷喬尋常小学校の格天井に向ひて言ふことなし・・
前庭

前庭

 遷喬小学校の校名は、前身の明親館という塾とのつながりを持つ山田方谷が名付けたそうです。
説明

説明

 校名の由来や校舎の構造・建築に関することなど書いてありました。拡大してご覧ください。
校舎の後側

校舎の後側

 旧遷喬尋常小学校は、校舎の後姿も素敵でした。その後側は駐車場になっていました。

外観

久世エスパスセンターの隣です
休館日:水曜日
開館時間:9:00 ~ 18:00
入館料:無料
駐車場:有り
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